口腔がんって どんな人がかかりやすい?

 口腔がんにならないようにするために大切なことが3つあります。

1つは、まず口腔がんを知ることです。口腔の大切さに気付くことも大切です。
お恥ずかしい話ですが、歯科医で口腔病理医の私もこのところ老齢変化で歯医者さんにかかることが多くなりました。
今更ですが、頭でわかっていても実際に体験してみないとわからないことの多さに気付きました。
お口は健康のバロメーターです。
一度ご自分のお口の中をゆっくりみてください。
2つ目は、リスクファクターを減らす努力です。
口腔がんのリスクファクターには、自分で減らすことができるものと、自分では回避できないものがあります。
自分で減らすことができるものを知って、少しでも減らすことが重要です。
では、どんなものがあるのでしょうか?

①タバコとアルコール、②過度の直射日光、③野菜やくだもののバランスと思います。

アメリカでは、口腔がんの患者さんの75%は喫煙者との報告もあります。
私も30才まではかなり吸っていましたが、やめたり、本数を減らすことは有効です。
全てのタイプのタバコはリスクの高い自分で回避できるもので、肺がん予防や他の肺の病気にも効果があります。
禁煙期間が長ければ、より効果が高いので、思い立ったら吉日です。
適量のアルコールはタバコほど有害ではありませんが、過度の摂取は問題です。
飲む場合はほどほどに、です。
そしてタバコとアルコールの同時摂取は、単独の場合の8倍ほどのリスクがあります。
バランスの良い食事は口腔がんに限ったことではないですが、野菜やくだものは大切です。
バランスの良い食事を心掛けましょう。
そのほか日本ではあまり使いませんが、ビンロウジ(ビンロウの果実)も世界、特にアジアではほとんどの口腔がん誘発の原因となっています。
また、関連のあるものでは、HPV(乳頭腫ウィルス)の感染があります。
子宮頸がんの原因として知られますが、近年喉頭癌(のどの奥)の重要なリスクファクターとして注目されています。
日本でも口腔がんの、若年者でタバコもお酒もやらない人の危険因子として注意が払われるようになりました。
最後に3つ目は定期的なスクリーニング検査です。
まずはかかりつけ歯科医院を持ちましょう。
そして毎日の診療で、口腔粘膜を視て、触って、時に細胞診をやってくれる歯医者さんを探しましょう。

                                                       東京歯科大学    口腔がんセンターパンフレットから 2021.03. 04                   

                     東京歯科大学市川総合病院臨床検査科病理

                     OC-Pad 研究所

                     田中 陽一