災害時の口腔ケア:命を守る大切な一手
はじめに、石川県能登地方で発生した地震により被災された皆様に、心よりお見舞い申し上げます。被災された皆様の回復を心からお祈りしております。 ~市川市歯科医師会~
災害は地震、津波、噴火、台風や豪雨による風水害などの自然災害だけでなく、大規模な火災や原子力事故なども含まれ、いつどこで起こるかわかりません。被害の大きさによっては避難所での生活を余儀なくされることになります。災害発生後、被災者の生活環境は激変し、睡眠不足などの不規則な生活が続き、肺炎、インフルエンザ、風邪などの感染症にかかるリスクが高くなります。また、お口の中を清潔に保つことができないと、お口の中で細菌が増えて体に悪影響を及ぼすことがあります。
肺炎にかかりやすい高齢者では特に注意が必要です。災害発生時は、まず命にかかわる救命救急への対応が優先され、歯や入れ歯の清掃、いわゆる口腔ケアは後回しになりがちです。
避難所や車の中などでの避難生活が長く続き、お口の中の衛生状態が悪くなると、抵抗力が低い高齢者は誤嚥性肺炎を起こすこともあり、からだ全体の健康に大きな影響を及ぼします。
まず、歯みがきなどのお口の清掃(口腔ケア)を行うことが、誤嚥性肺炎の予防にもなり「命を守る」ことにもつながります。また、避難所では支援物資のおやつやインスタント食品が身近に置かれるなど食生活が変化し、子どものむし歯の多発や、歯周病の悪化に伴い糖尿病患者の症状が悪化するなどの報告もあります。災害時にこそ「口腔ケア」が必要になってくるのです。
以下、広報いちかわ3月16日号紙面より転載